『沖縄タイムス』紙・教育紙面の「たんぽぽのタネ」に2022年10月~2023年3月までの間、当学園に関するコラムが毎月連載されます。沖縄タイムス殿のご厚意により、こちらに全6回の記事を転載します。
シュタイナー教育では「オイリュトミー」という必須教科があります。簡単に言うと音楽や言葉を空だの動きとして表現する踊りです。
オイリュトミーには、芸術・治療・教育の三つの分野があろ。芸術は人が自ら語り歌うことを極め表現することを、治療では心身のバランスをオイリュトミーの動きの要素で整えることを目指します。そして教育では、子どもたちが一人の人となっていくためにオイリュトミーの要素を用います。それは言い換えると、心と体のバランスの取れた状態をつくること、将来自分のやりたいことを自分で表現していける体や心を育んでいくことだと考えます。
子どもたちは、授業でそれぞれの成長段階に寄り添うオイリュトミーの要素を動いて学び、自らを育てます。1年生では私と世界がまだ分離していないので、輪になって皆と一緒になって動き、2、3年生になり、「私」が芽生えてくると、私とあなたを意識する対面になります。それ以降は世界と向き合う正面向きになり、上下、左右、前後の空間を感じ把握する動きになります。それと呼応して3、4年生ごろのエポック授業では、郷土学や幾何学を通して空間を把握する抽象的な思考が始まります。このようにオイリュトミーは他の教科とつながっています。
また、足をよく動かすこと、かかとを使うことは顎を刺激して乳歯の生え替わりを促します。学園の5、6年生は本年度から週2回のオイリュトミーをしていますが、まだ残っていた乳歯が抜け、それにより霧が晴れたように抽象的な思考ができるようになった子がいました。
オイリュトミーの学びの成果は、子どもたちの奥深いところで育ち、一歩一歩しっかりと人となる道を歩んでいることが、子どもたちの動きの中にはっきりと見て取れます。