友と家作り 9歳児成長たんぽぽのタネ第4回

『沖縄タイムス』紙・教育紙面の「たんぽぽのタネ」に2022年10月~2023年3月までの間、当学園に関するコラムが毎月連載されます。沖縄タイムス殿のご厚意により、こちらに全6回の記事を転載します。

 ミーニシが吹き始めたころ、沖縄シュタイナー学園の3、4年生は「くらしと仕事」の授業でいよいよ家作りに入りました。

 家作りを始める前に、結びの線描をたくさん描き、実際にロープで結ぶワークもしました。また、キュビット、メートル、尺など、いろいろな単位が生まれ、基準が決まっていく歴史をたどり、「長さ」「重さ」について学びました。

 みんなで話し合い、竪穴式の家を作ることに決めました。模型を作り、作業を確認しました。保護者の中からこの仕事をサポートしてくれる棟梁も決まりました。子どもたちは、寒さの中で柱を建てる穴を掘り、重い土を泥だらけになって運びながら楽しいと目を輝かせています。仲間とやりとりしながらリーダーを決め、作業を進めています。水を入れたペットボトルで水平を確認し、石を垂らして垂直を測ります。

 屋根をふくイグサとススキは、重さ50グラム、長さ90センチを一束にします。子どもたちは「先生、1ヤード、約3キュビットだね」と早速学んだ単位で確認して、長さをそろえています。作業が終わると、やったことを絵に描き、感想を文章にします。

 家作りは、この時期の子どもたちの心の成長に欠かせないものです。9歳前後は発達心理学で「中間反抗期」と呼ばれていますが、シュタイナー教育では「9歳の危機」と呼んでいます。周りの環境と一つだった幼児期から成長して、「私」と「他」の区別をするようになり、そこから来る不安や孤独を漠然と抱えます。この時期に仲間と力を合わせて自分達の家を作るということは、安心のよりどころを自分の中に作るという作業でもあるのです。これから外の世界と向き合い、一人で歩きだすための準備を整えることになるのです。家は1月末、完成予定です。

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