子思う親と教師が合流たんぽぽのタネ第1回

『沖縄タイムス』紙・教育紙面の「たんぽぽのタネ」に2022年10月~2023年3月までの間、当学園に関するコラムが毎月連載されます。沖縄タイムス殿のご厚意により、こちらに全6回の記事を転載します。

 その夢は、大きな二つの流れが合わさって実現しました。

 一つは、自由を目指す人間観を背景に持つ、「シュタイナー教育」とその根底に流れる思想を学びたいと集い、学び続けてきた流れです。そこには、自分の生き方を高めたいというさまざまな職種の人がいました。日々教育の現場で格闘している教師も含んでいました。県外から講師を招き、こつこつと地道な学びが20年以上続けられていました。

 もう一つは、沖縄で子育てをする親たちの意識の流れです。複雑化する社会に呼応するように小学校の様子も複雑になり、その学校環境に合わないこどもや、のびのびといられない子どもが増えてきました。沖縄は、人口当たり不登校率全国一といわれていますが、数字の中には、ホームスクーリングやフリースクールを選択したいという家庭も含まれていてます。沖縄の豊かさを受け取り、その子らしく、しなやかに、そしてたくましく育つ教育ができないだろうかと模索する親たちがいました。

 この二つの流れが2019年の夏、シュタイナー教育実践研究会のサマーセミナーで一つになりました。子どもにシュタイナー教育を受けさせたいという親の思いを、学びを続けてきた仲間が受け止めたのです。今年、開校した沖縄シュタイナー学園は、子を思う保護者、シュタイナー教育を信頼している教師、それを支える関係者からなる一般社団法人子どもと先生を元氣にする会が運営しています。

 開講して半年。子どもたちは毎日学ぶことを全身で楽しんでいます。大人は、教育内容について、運営や資金について、話し合いを続ける中でつながり合い、信頼を深めています。課題と向き合いつつ、沖縄に根を張り、子どもたちの育つ環境を整えていきたいと考えます。

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