1年生 学びの過渡期たんぽぽのタネ第2回

『沖縄タイムス』紙・教育紙面の「たんぽぽのタネ」に2022年10月~2023年3月までの間、当学園に関するコラムが毎月連載されます。沖縄タイムス殿のご厚意により、こちらに全6回の記事を転載します。

 沖縄シュタイナー学園の1、2年生のクラスの様子を紹介します。8時15分、先生の鳴らすリーンという鈴の音で子どもたちは並んで教室に入ります。先生は笑顔で「〇〇さん、おはようございます」と一人一人と握手しながら、その日の子どもの様子を感じ取ります。

 教室に入ると「エポック授業」と呼ばれる時間が始まります。朝の言葉や歌、リズムパート、そしてメインの授業、お話しで構成されています。温かい雰囲気の中で笑顔の先生と毎日、体のリズムを整えるために詩を唱え、歌を歌い、体を動かします。そうすることで、子どもたちは夢見心地の幼児期から学びの世界へと入っていきます。

 この日のメイン授業は「ひらがな」。お話を絵にした中から文字を浮かび上がらせていきます。文字は生活とつながって存在します。一つ一つの文字を発見した時、子どもたちは目を輝かせます。学びはゆっくりですが、真剣です。習ったひらがなで知っている言葉を書き表せるようになると、うれしさでいっぱいになります。

 その後はお話の時間です。大好きな先生が語るお話の世界に包み込まれ、想像力を働かせ、豊かなイメージに浸ります。授業時間の110分はあっという間。子どもたちは「もっとやりたい」と、学びたい気持ちを表現してくれます。

 シュタイナー教育では、7歳、乳歯から永久歯に抜け替わる時期を成長の大切な目安と考えています。体の中の固い歯が入れ替わることは体が整ってきた証です。そのため、これまで体を形成するために使っていた力が、内面的な、記憶力や想像力の形成に使われるようになります。1年生はその過渡期にあります。ゆっくりと丁寧に向き合うことで、学びへの興味を育てていきます。

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